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「今、世界は大きな悲しみに覆われている」とは大森大輝君による今回のコンサートに対する叙述です。指揮者である彼は先月「今、世界は大きな断絶を経験している」というコンセプトのもと、オール・シェーンベルク・プログラムという意欲的な演奏会を振ったばかりです。
断絶と悲しみ。Covid19によるパンデミックにより世界は大きな断絶と悲しみを経験の真っただ中にあります。世界を映す鏡としての芸術が、いまミメシスすべきは、断絶と悲しみを措いて他にあるでしょうか。今回のプログラムは、「悲しみの情念の本質を場に開示させる」という哲学的な実験を兼ねています。
アリストテレスは『詩学』において、悲劇は観る人にカタルシス(浄化)を経験させると述べました。うまくすると、このコンサートを聴きに来ると、悲しみの情念を喚起されるだけでなく、すっかり魂が浄化されるかも知れません。ということまではお約束できませんが、どうぞ聴きにいらして下さい。
【プログラム】
G. フォーレ エレジー Op. 24
A. グラズノフ エレジー Op. 17
D. オーモリ アダージョ・エレージャコ Op. 6
N. カプースチン エレジー Op. 96
R. ワーグナー エレジー WWW93
尾崎宗吉 夜の歌(遺作)
K. レイトン エレジー Op. 5
J. ブラームス ソナタ Op. 38
ピアノ:大森大輝(指揮者)
チェロ:村上曜(美学徒)